横濱夢語りVol.23 @しぶやVwith金田賢一芸能生活30周年

ちょいとかくせ(中川由布子作 石山和男脚本)

昭和20年代の野毛・横浜界隈。多感な少女・みちの目を通して描かれる路地裏の人々と暮らし――。
それは戦後の焼け跡、闇市を舞台に貧しくとも明るく気丈に生き抜く四人姉妹の物語である。
「みちは父に連れられてよく闇市に行ったが、ふかしいもが一円、もつ煮は三円もした。
大人たちがもつ煮をがつがつと食べる姿を眺めるだけで、おなかがいくらグーグーと鳴っても、
眩暈で倒れそうになってもとても買える代物ではない。
それでも野毛は敗戦のみじめさを忘れ、廃墟から立ち上がろうとする人々の生命力に溢れていた・・。」

霧笛荘夜話〜朝日のあたる部屋〜(浅田次郎作 石山和男脚本)

暗い運河のほとりに、その奇妙な建物はあった。
いったいいつの時代のものなのか、生い茂った蔓が壁を被い、屋根瓦のあちこちに雑草が萌えている。 
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」に住む住人たちのロマンと人情そして、優しさに満ちた
     切ない感動。
「ここには鉄夫っていう半ちくなヤクザが住んでたんだ。ちゃんと日も当たるさ。
もっとも午前中だけだがね。鉄の野郎は、それが眩しくて朝寝ができねえと、
よく一人で癇癪を起こしてたっけ。馬鹿なやつだろう。どんなにいきがったって、
お天道様にしか文句を言えねえような腰抜けさ・・・。」